会社設立の「発起人」とは? 設立に必要な人数と役割について

<会社設立の「発起人」とは? 設立に必要な人数と役割について>
 

 
 会社設立にあたっては「発起人」が必要です。発起人とは、設立時に出資する人です。たとえば、株式会社を設立するにはどれぐらいの人数の発起人がいなければいけないのでしょうか?気になる発起人になるための条件などと合わせて解説します。
 

 
■発起人は何人必要?
 会社設立の際に発起人の人数にとくに決まりはありません。1人でもかまいませんし、10人でも良いということです。しかし、会社として活動をスタートする際、たとえば勝手に株式会社を名乗るのはNGです。必ず、会社のルールである定款を作り、それを公証役場で認証してもらい、いわゆる法人格を取得しなければいけません。この定款を作成したり、社名を決めたり、資本金を出資する人のことを発起人といい、いわば定款作成のためにも発起人は必ずなくてはならないものなのです。
 
 基本的に会社を経営する取締役と発起人(出資者)は異なります。しかし、小さな株式会社などは発起人(出資者)が取締役を兼ねることがほとんどです。会社を作る際の主体であり責任者でもある発起人は、株式会社ならば必ず一株所有する義務があります。つまり、株主でもあるというわけです。1人で取締役、発起人、株主を兼任していたとしても、それぞれの立場でできること、できないことも異なります。会社としていろいろな契約や手続きを行う際、どの立場からのものなのかしっかりと把握し、混乱しないようにしましょう。
 
 そして、発起人は誰でもなることができます。年齢制限もないため未成年でもOKですが、会社設立の際に必要な印鑑証明書を15際以下では作成できないため、実質的には難しいといえるでしょう。一方、外国籍の人でも、日本に住所がない人でも発起人になることができます。自己破産をした人でも発起人にはなれますが、融資を受ける際にマイナス要素となるリスクがあることは覚えておきましょう。自分の会社を立ち上げる際に発起人となるのは問題ありません。しかし、誰かに発起人となることを依頼したり、また、自分が依頼されたりするシチュエーションがないとも限りません。いざという時に慌てない為にも発起人とはどんな役割があるのか理解しておきましょう。
 
■発起人にはどんな役割がある?
 発起人は会社設立に関する責任を負います。したがって、会社設立までに何らかのトラブルがあった場合、発起人が責任を問われることになるのです。会社設立のプロセスで誰かに損害を与えるような事態があった場合、発起人は弁償しなくてはいけません。自分の会社の発起人となる時は問題ないかもしれませんが、人から頼まれたものならば果たしてその事業が本当にうまくいくのかどうか吟味する必要があるといえるでしょう。
 
 さらに、発起人は株主でもあるので、事業がスタートした後も会社に対して影響力を及ぼします。たくさんの発起人がいればそれだけ株主も多く、資金集めには不自由しないかもしれません。そのかわり、株保有率の高い発起人が増えるほど、経営に対して支配力を強める可能性もあります。自分の好きなように経営したいと考える起業家にとってはデメリットになる場合もあるため注意しましょう。
 
 実は会社は発起設立と募集設立という2タイプがあります。発起設立とは発起人だけが会社設立時の出資者、すなわち株主となるというスタイルです。一方の募集設立は発起人の出資は一部だけで、第三者からの出資を広く募集します。資本金が集まりやすい一方、手続きが厳しいため、近年はほとんどが発起設立となっているようです。
 
 いずれにせよ、比較的に簡単といわれる発起設立でも必要な手続きは決して簡単ではありません。創業時の何かと忙しい時に片手間で処理するのは難しいものがあるでしょう。それよりも、会社を起こすにあたっては将来のビジョンや事業目的などについて十分に考える時間が必要であることは間違いありません。「会社の憲法」とも呼ばれる定款の内容をしっかりと吟味するようにしてください。
 
 ただし、この定款について発起人が注意しなければいけない点があります。もし、電子定款を作成するならば、発起人の人数分だけそれぞれの電子署名が必要になるのです。電子署名の作成は住民基本台帳カードやマイナンバーの申請などをしなくてはいけないため、ある程度の時間がかかります。もし発起人が複数いるようならば、一人ひとりに声をかけて準備をしてもらうようにしなければいけません。集まったデータをもとに電子定款を仕上げるために用意しなければいけないソフトもハードもあります。創業時にそれだけの手間暇をかける余裕があるのか、今一度考えてみましょう。
 

 自分ひとりが発起人となって起業する際、不安は多いでしょう。また、複数の発起人を立てた場合、企業のための手続きそのものも複雑化しますし、その後の経営にどのような影響があるのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。初めての起業は心配事がつきないものです。ぜひ、これまで数多くの会社設立をサポートしてきた代行業者に相談してみてはいかがでしょうか。